▼散歩コースの道筋にあるマヤの幼稚園には、二羽のカモがいた.
真っ白で、大柄.
まるでプラスチックみたいに人工的な、ナルシス色の平べったい水掻き足でぺたぺた歩くカモ.
それと、ちょっと小柄で地味目な深緑色の頭に、粋なツィードのジャケットを着たようなカモと.
狭い我が家ながらも、小さなプール付という環境を満喫してる模様.
園児たちがぎゃーぎゃー遊びまわる横で、どこ吹く風とマイペースな彼らの生活を時々みながらの散歩は楽しい.
だけど、数年前、白いほうが死んじゃった.
残された相方を思いやってか?間もなく真っ白い、今度は本当にプラスチックな水掻きをしたカモ形が、置かれた.
久々に、その道をゆくと、ずいぶんカモ形の
プラスティックの黄色い足や、目鼻のプリントが褪せている.
時間が経ったんだね.相変わらず残されたほうは、淡々とやっている様子.
ある日、マヤと立ち話をした.
しかし、どこの世界も、女は強いね.亭主死んでもなんとか生きてるもんなー。
「センパイ、死んだのはメスのほうで、これはオスだよ.」
えっ(絶句).てっきり先に逝ったのはオスだとばかり、体もでかかったしさ、あのカモ.
「センパイ、だいたいカモじゃないし.
ア
ヒルじゃん!」(呆れ顔・もともとそんなだっけ?!・笑)
あ、すいません.
(バスケ部の先輩、後輩という関係の彼女との会話には、すでに
四半世紀の付き合いの中でその関係性は形骸化して、単にセンパイという音だけが残る。まったく遠慮というものがない。ちぇ,,)
つまり、
やもめ;寡婦のカモじゃなくて、
や
もお;鰥夫の
アヒルであったということ?.
・・・・・・・一瞬にして、目の前の「やもめカモ」物語が、揮発してしまう。