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目で触(さわ)る全体に公開
2006年06月15 日13:52
まず、この日記を存分に く楽しむために、次のいずれかの環境を最低限用意する。
A:「触覚連画U」webサイトを並行してあけながら、以下のディテールを目で触る。
B:安斎利洋日記 「見ること 」を読みながら、このディテールを脳みその中でブレンド。

 
1998年-2000年、全盲の造形作家、光島貴之さんとの連画は、視ること触ることの境界線上への旅にわたしたち三人を連れ出し た。現在、この「触覚連画」は、TからUへ。そのセッション途中で、休眠している。
光島さんは、粘着テープやシートを使った触れる表現で作品を創るし、安斎と中村は、当時、CG作品をネットで送りあう連画という創作 システムに熱中していた。この新たなコラボレーターの出現で、視ること、触ることだけでなくすべてのセンスの境界が大きく揺らぎはじめたことを思い出す。

その光島さんと6月12日の夕刻、久々に再会。現在京都を拠点に国内外で活躍中の彼は、早稲田の草原真知子さん(日記へ)のところに特別講義のためにやってきた。

すでに、関係者の日記がアップされているが、「触ってみてたい。視てみたい。」というマイミクたちの‘圧‘を感じてデジカメでディテールをちょっとえぐって当時の気泡がはじ けるのを感じていただきたいと思う。

以下 作品は、光島作品がオリジナル1点ものであることなどの事情から、精巧なレプリカを制作。これのディテールを撮影したもの。また、短い各作品の説明は、中 村の記憶と解釈。確か、各人による正確な解題もあったかなぁ。

↓ぜひ、それぞれにクリック、拡大おすすめ!

【1. アリア(ゴルトベルク変奏曲より)/安斎利洋】
CGをデザイン用のカッティングシートに出力する。プロッターをコントロールして厚みが1mmくらいの音符を切り出す。
指先では十分に感じられる。
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【2. 弦楽器/光島貴之】
郵送した安斎作品をみてさわって、剥離紙に貼られた絵の要素;音符などをつけたりとったりしながら、自らの創作に錬りこむ。アナログ 環境で連画に挑んだ作品。
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【3. 幸せを運ぶクモ/中村理恵子 】
光島作品をスキャニングして、デジタル環境で数日うつらうつら泳がせる。つい色彩を使ってしまうが、知人のイラストレータ、石川浩二 さんが「中村さん!カラー対応のモコモコ(凸凹)ペーパーがあるらしいよ。」と人とモノを繋いでくれた。
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【4. 涙の音/安斎利洋】
前作の目を閉じて、涙を流している。物理的に涙が頬をつたうのではなくて、空間に浸潤する涙の流れる音を感じてほしいという意味 か?。
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【5. 腕輪/光島貴之】
前作のカッティングシート部分、自らが気に入ってる粘着テープ、これに加えて、たぶん確認用に一旦白黒凸凹に熱処理した作品も切り抜 いて質感の違いを遊んでるようにも思える。
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【6. アップリ家のマドンナ /中村理恵子 】
カラー対応の凸凹ペーパーへの出力絶好調!といいたいところだけど、なかなか繊細さ(アイロンの温度やあてる加減)が要求される。失 敗の山にため息つきながら。
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【7. 指先で絵をつま弾く/安斎利洋】
毎年恒例だった、「ディジタル・イメージ@銀座ワシントンギャラリー」2000年5月の展覧会の、確か当日。
真っ赤な目をしてをつっこんできた作品。技法については、ちょっと謎。
本人へのインタビューを予定。
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【8. 指先で読む/光島貴之】
支持体が紙面から透明なアクリル板へ。カッティングシート、レトラライン、点字テープに、連絡用に使っていた音声テープまですべての 情報伝達手段をコラージュして作品化。
両面から、触ると同時に目線もリズミカルに作品空間を泳ぎ始める。やるなー。
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このセッションのエピソード★

1)障害者に対して思いやりがない!とお叱りをうける。
2000年頃だったか?NHK教育の番組にとりあげられた(福祉関係の番組だったけれど、)。
「カラーの作品を造った作家よ、そんな作品を返球するとはなんだ!視覚障害者への思慮がたりない、思いやりがない。」
という視聴者からの反応があったことが伝えれられた
--あ、「幸せを運ぶクモ」あたしの作品か,,,,---
このエピソードには、3人とも、がっかり。
一番がっかりの深度が深かったのは、たぶん光島さんだったのではないか?と思う。
彼の知性と、強い好奇心と作家としての創造性には、かえってそんな気使いがとんてもないお節介に映る。


2)アスキーの記事になる
http://ascii24.com/news/i/keyp/article/2000/03/15/607772-000.html
http://ascii24.com/news/i/keyp/article/2000/03/27/607960-000.html

3)ISEA2000入選、論文も併せて発表
「触覚連画」,ISEA2000(Symposium on Electronic Art /仏)Creativity and the Web 部門入選&論文発表「"TactileRENGA - A process of Rediscovery of color"」
http://www.f.waseda.jp/kusahara/paper/TactileRengaIsea2000.doc
http://www.f.waseda.jp/kusahara/paper/TactileRengaCVIM2000.doc

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