▲やさしそうな表情をみせる登山口/現代にタイムスリップ?修験者の群れ(
日
本杖道会の面々)
▼杖道を創始した夢想権之助が、16世紀後半(慶長の頃、江戸時代のはじめ)それまで無敗を誇った彼が唯一あ
の、宮本武蔵の十字留に破れる。
「こりゃいかん!」と口走ったかどうか謎だけど、なにせさらに厳しい修行のために参籠したと伝えられる霊峰
宝
満山の「
普池の窟」(ふちのくつ)をわれわれもめざしす。
標高は、1000mに満たない。だからといってなめてはいけない。エジプトの巨大ピラミッドの石段の重なりに似
た岩階段が延々と頂上までつづく。時々わずかな平地で休み休み、湧き出す清水を飲み飲み、ひや〜ぁぁぁぁっぁ。途中で止めるわけにもいかない。
★追記:フォマールさんがコメントしてくださった宝満山さんの地図。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?id=50302405&slidex=0&slidey=400
等高線の間隔も細かく非常に均一。やはりこれはピラミッドだとおもってしまった。自然が蓑をまとった天然のピラミッド。
われわれ、藍染濃紺道衣に杖(じょう)をもって、綿100%の馬乗袴(うまのりばかま)両脇の股立ちをつまみあげて、袴の紐にはさみ
こんで登る。靴はさすがにellesseのウォーキング用(笑)だけど、なんだか山伏あるいはにわか修験者にでもなった気分です。
傍らを、いまやシニアの間で大人気の軽装登山者たちが、この一群に奇異な目をむけながらもすいすい追い越してゆく。
【頂上に這い上がってきたところ苦、苦しい,,,】
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【宝満山頂上の上宮で、奉納演武】
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そして、
【岩山の急斜面に打ちこまれた鎖を頼りに、めざすは「
普池の窟」】
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巨大な大岩の脇腹を小太刀で斬りこんだよう
な切口に似た「普池の窟」に到着。ここに籠もったと伝えられる夢想権之助を想いながら、薄暗い岩窟の奥にある慎ましい祭壇に交代で参る。足元は、涸れるこ
となく湧き出る清水でぬれている。
【不意に夢想権之助の幻影が現れ、雷打(らいうち)脾腹を突く!なんちゃって,,】
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【総師範が見守る中、miyamaさんの詩
吟で締めくくる】
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【みな集合!記念撮影】
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朝8時に出発して、山あり谷あり宿に帰り着
いたのが午後3時すぎだったろうか?これで、すべての
『流祖祭』イベントが終了(2006年9月4日)。
この空気に包まれたままずっしり汗を含んだ道衣を荷造って大宰府を後に→博多湾を巡って東京へ。
都内、JR山手線車内で久しぶりに現代人を新鮮な気持ちで眺めると、ずいぶんどうでもいいものを買わされて身に纏い、ぱさぱさに洗浄
された髪や肌はけっこう疲れて生気がない。
比して自分は、汗と独特の藍の香りが胸元から微かにたち昇って、細い紙縒りのように鼻腔をくすぐる。
ほんの数日間、扱いにくい道衣に翻弄されながら体躯を繰り岩山にしがみついてきたただけだというのに、ずいぶん
大層な感覚に目ざめたものだわとちょっと呆れもしたけどね。
修行話は、つづく。