▼辞書で引くと、JAPAN
→漆という意味もあると知ったのは、世田谷のボロ市で買った小さな皿を漆修理に出したときだ。6000年前の縄文時代からある優れたコーティング技術だっ
てさ。
たぶん500円くらいでたたき売られてたこの皿は、墨をたらして絵皿にするとうんと使い勝手がいい。木炭や鉛筆
の描線に混ざって竹ペンや葦ペンでこつこつ皿底をつついて漆黒の墨を吸わせて、何度も何度も紙と往復しながら、
親
しい人々の肖像を描くのが楽しかった。
でも、そのうち漆が破れ木地がみえてぼろぼろになってしまった。
ある日、本当に偶然にこれを修理できると知ったときも驚いたけど、これを生業にする女が、わたしと同世代の、元
銀行員だってさ。
うわっなんてトンマなやつだ(そのまま銀行員でいいじゃんという意味ね・笑)。
修理専門工房 NADESYCCO、(今は、社名変更して
Duco)
当時たった一人で、小さな工房付店舗をきりもりしていた。
修理代は、平凡だったと思う・・・覚えてないから。
それよりその修理期間だ。
伝票には、約1年先の日時が記されている。
そんな悠長な商売やっていては、飢える。
まるで目にみえない敵、あるいは真っ暗な闇に挑むドン・キホーテのようじゃんとも思ったな、自分の身の上をすっかり棚上げして
(笑)。
【修理済み;江戸の終わりごろの器でしょうね、と云われてる。】
しかし、すでに当時、大事に仕舞い込まれた各家庭にある重箱やお椀などの修理がぽちぽち持ち込まれていたよう
だ。
彼女の活動は、独特で柱は3つ。
1)漆の灯を絶やさない。
修理で資金を得たら、貴重な技術をもった職人、作家たちを巻き込んだイベントの企画と運営。
2005年に、あたしも連動イベント
『漆ハプニング』制
作。
2)使い方、作り方などの講習会を伝える。
変わったDM(凝りすぎで経費考えてないだろ?・笑)送ってくる。
今週末13日16時まで展示会と講習会が
ウェルプラザ"楽"@大阪であるみたい。
3)漆の伝統を守るばかりでなく、可能性を
果
敢に研究開発。
チタンに漆を塗る技術を開発した。
年明け早々、
2008年1月中旬、京都
東急ホテルで総力あげて制作した『風神雷神屏風』を公開するらしい。漆
とチタンの相性、質感はどうだろ?これはぜひ、みてみたいわ!
資料:
大堀和子さんへのインタビュー
しかし、思えば(一見っ!!)トンマな連中;ドン・キホーテ族たちは、稀少だが確かに存在するし向こうからやっ
てきたし、面白いことに出会い続けた。
いまやそれぞれさらにパワーアップして、相変わらず一人で、あるいは組織の中で力強くますます活躍してる人が、多い。
ドン・キホーテ族よ、たいしたもんだ。
年越しも近い。
お宝といえども、毎日使いの
漆セット(大堀和子作)に磨きかけて、仕舞いこんでるな空っぽな
ジャパニーズケータイ・たから箱(輪島の角好司作)をたまには、出してこよ
う。