【学外・特別講義「身体表現ワークショップ-杖道とアート-」】
日時:7月16日(日曜日)午前11時~午後4時ごろ
イベント名、目的:「第29回 東京都杖道大会]」(入場、見学無料)観戦、体験
場所:巣鴨学園体育館 〒170-0012 豊島区上池袋1−21−1
【課題内容】
1.杖道の勝敗はいかに決するのか?800文字程度+
2.12時~20分程度ある、「杖道体験」への参加 指導:山口満先生
大島佳奈
杖道の勝敗の決め方について、私が実際に試合を見て思ったのは、
でも一つ気になった点があります。それは勝敗のつけ方です。
この授業を通して、杖道を知ることができました。
松丸弘史
まず試合を見ていて、年配の方が多いなと感じた。会場の中は、ものすごく静かな雰囲気と、技を決めた時の威勢の良い声が響き渡っていた。試合を見ていると、2組の仕杖・打太刀が指定された形を同時に演武し、技と間合いの正確さ、気勢の充実度などにより勝敗を判定していたが、必ずしもフィジカルの面で有利な組が勝利するわけではない気がした。これも杖道の魅力のひとつだと感じた。いわゆる力まかせの武道ではないということだ。年齢差が結構ある試合が多いなと感じたが、このように形武道であること、全身を無理なく遣う武道であることから、体格差・年齢差・男女差などに関係なく互角にその技量を尽くせる数少ない武道だと思った。
試合が終わっても、戦った相手と会場の端のほうで、しっかりと挨拶をして、とても礼儀正しく真摯なスポーツだと感じた。
私は幼いころから野球をやっていて、野球を通じて挨拶や礼儀を学んだが、この杖道はそれよりも、もっと深く礼儀正しくて、恨みっこなしの、選手も観客もみていて気持ちがいいスポーツであると思った。
福島大河
杖道の勝敗の仕組み
杖道の試合は、赤と白の二組、各組二人ずつに分かれて行われる。それぞれ一組ずつが決まられた技を交代で演武し、それを主審一人、副審二人が判定する。素人が見たところでは、いったいどのように勝敗を決めているのかさっぱり分からなかった。もちろん、剣道のように二組がそれぞれ戦いあうわけではない。審判員はいったいどのような点を勝敗のポイントとしているのであろうか。
大きく分けると、五つのポイントがあるそうだ。
一つ目は、「充実した気勢」である。要するに演武者の気持ちのことである。この表現として毎回杖側の人間は技を繰り出すたびに大きな声を出す。そう考えると杖のさばきひとつひとつにも感情を込められているように思えてきた。わたしたちも講義中、打ち方を習う際に声を出していたが、あんなものとは比べ物にならない迫力であった。先生のあれだけ昼飯食ったのかと聞くわけもよく分かった。
二つ目は、「正しい姿勢」である。打ち方によって杖の持ち方や体を向ける方向は異なる。こういったものが決められた通りにできているかどうかも審判員にみられている。
三つ目は、「正確な打突と打ち込みの強弱」だ。それぞれの技によって、太刀のさばき方、相手のどの部分に杖を向ければよいのかなどである。打ち込みの強弱とは、一定の打ち方では技に表情が付きにくいため、太刀をたださばくためだけに打つときの杖と、相手に直接杖を打ち込むときでは杖のスピードや勢いを変えることではないかと感じた。瞬間的な動きをする部分とゆっくりと相手に向かっていく部分で表情をつけているように思えた。
四つ目は、「間合と間」である。相手に向かっていく部分で相手との距離をとる物理的な間合いと、技が終わった後の残心の部分で動作の中に空気感をつくっていた。抑揚をつけるという意味では音楽のようであると感じた。
最後は礼法である。どの武道やスポーツでもあるように、マナーは守られているか。相手に敬意を払うことができているのかどうかだ。こういった点は試合後に見受けられた。試合の中でけっして交わることのない二組であるが、試合後それぞれ正座をし、互いに礼をしていた。驚いたのは、完全に試合が終わった後であったからである。審判員はその様子をいちいち見ているわけではないし、これが勝敗のポイントになるのかどうかは疑問であったが、試合相手を尊重するといった意味やほかの競技ではあまり見ることのできない光景であったので、独特であるなと感じた。
このように様々なポイントを踏まえ、審判員は優れていると思った組の旗をあげる。これには審判員の好みが多少なりともでてしまうのではないかと感じたが、それでも見ている側を引き付け、魅了し、気持ちが伝わる演武をしたものが勝者となるのではないかと考えた。この部分がこの武道はとても比重が重いと今回直接試合を見て肌で感じた。打つ込みの正確さ、間のとり方といった技量はもちろんであるが、みている者の心にグッとくるような、きらめきを感じさせる気持ちの表現をすることが勝敗に大きく関わるのではないかと感じた。
参考文献
杖道とは http://www.kendo.or.jp/kendo/
杖道とは http://tokyo-jodo.jp/applicant/what-is-jodo
後期・学外特別授業「第44回 全日本杖道大会」ライブ観戦
http://rieko.jp/lab/?p=14433